家電のノイズ対策というと家電側にノイズフィルタを入れるケースが多いようですがここでは機材側で対処をします。方法論としては”機器のアースと壁コンセントのアースを分離する”手法になります。
日本の壁コンセントは片線がアース(接地)されています。そのことにより屋内の電源配線は不平衡回路を形成しており、コモンモードノイズというノイズを運んできます。
このノイズが機器のグラウンドに乗ってしまうと使用機器以外の家電の動作やプラグの抜き差しに影響を受けると考えられます。通常は絶縁トランスで対処しますが、もう少し手軽で同様の効果を得られる方法かと思います。
まず、対処が不要な機材を挙げると、意外かもしれませんが電源がACアダプターの機器です。基本的に一次側と二次側は電気的には、機器のシャーシ外で、一旦絶縁されているためです。
次に3ピンAC電源の機器、これは3ピン→2ピンの接地アダプタでコンセントのアースから浮かせます。浮かせた端子の処理方法は当ホームページをご覧ください。コンセントのアース工事をされた方にはちょっと悲しい話ですが3ピンコンセントの接地極とマイナス極が導通アリの場合(とくにことわらずに工事した場合は結構な確率で該当すると思います)、機材のアースを浮かせない限り家電からの影響は免れないでしょう。
注※)3ピンコンセント接地極とマイナス極の導通確認をしてみたい場合はコンセントのプラス極とマイナス極が逆に配線されていると電源がショートしてブレーカーが落ちてしまいますので、必ずプラスとマイナスをテスターや検電ドライバーで確認した後にして下さい。
2024/10/2 下線部を追記しました
またもし単独の接地点に繋がっているとしてもコンセント〜接地点までの線路が共通インピーダンスというノイズ源を形成します。これを避けつつ接地するには各々の機材から接地点まで直接アース線を引く必要があり、マンションなどではとても現実的とは言えません。
最後は2ピンAC電源の機器、これは実際には機器内部で直流に変換されているはずですが、この電源線にノイズフィルタ(フェライトコア)を入れます。フェライトコアは高周波の不要輻射対策で知られていますが、もう一つの効用が”電流→磁束→電流”という変換プロセスです。コアに電流が流れると電気が磁気に変換され、再び電気に戻ります。これでもってコンセントの片線アース(コモンモードノイズ)を切ることができます。
装着位置はオスプラグ側にフィルタ本体の長さ÷2くらいの間隔を取った辺りが良いと思います。おそらくこの位置が最も電力ロスが小さく済みます。
可能であれば併せて電源コードを撚ることもお勧めします。
その際の注意点としては、フィルタ装着部分は撚らないでおくということです。
注※)この手法を試される際、該当箇所以外にフィルタを入れていた場合は一旦外してから行い、該当箇所の電源コードはコンセントから抜くか、電源を落としてからフィルタを装着することををお勧めします。
2024/11/23 訂正しました
インバータではなく直接にAC100Vで動作する家電や半波整流で動作する家電に対しては上記の対策では不十分なようです。一概には言えませんが、リズム運転のある昔ながらの扇風機や、パネルヒーター、加湿器など消費電力を調整できる季節家電に多そうです。
このようにコードを撚り合わせた上、この場合は極性合わせも行い、タップに挿している場合はコンセント側に一番近い箇所に挿します。コンセント直挿しの場合はどの口が上流か判別できないので、上下2口の場合などは差し替えてノイズがおさまる方を選択されて下さい。リズム運転の扇風機はキツキツに撚らないと厳しい感がありました(写真3枚目)。
これらの機器のコンセント周りには金属製の置物などは置かない方が良さそうです。
以上で対処はOKなのですが、ノイズの経路がイマイチ掴めておりません。フェライトコアは効かず、電源コードのツイストが効くと言うことで、ノーマルモードノイズであることは間違いないと思います。